「広報を担当することになったが、何から手をつければいいかわからない」——製造業・モノづくり系メーカーでこの状況に置かれた担当者や社長はきっと少なくありません。
「広報」と聞くと、プレスリリースを書いてメディアに送る、記者対応をする、テレビの取材を受けるというイメージを持つ方が多いです。ただ、それは大手メーカーの広報部が行う活動の話です。従業員10〜100名規模の中小メーカーが最初にやるべき広報は、まったく別のところから始まります。
この記事では、中小モノづくり系メーカーの広報担当者が「最初に何をやればいいか」を、現実的な優先順位で整理します。

田口 靖恵|Content Strategist/SEOコンサルタント/ウェブ解析士(個人事業主)
運営:INGTACT(コンテンツ設計・SEO支援)
X(https://x.com/ami_lier)
独学でのWordPressから、個人メディア運営・アフィリエイト事業(成果報酬型広告)を通じ、サーバー設定やSEOに有利なディレクトリ構造(URL階層)の設計までを、すべて実戦の中で習得してきました。
また、BtoBツール(SaaS)やECサイトなど、複数の企業案件におけるディレクション実績を持ち、制作チームとの連携作法も熟知しています。
自身のメディアを収益化してきた経験と、企業の制作現場を知る強みがあるからこそ、発注者様と同じ目線で「検索エンジンを考えた構造」と「売上に繋がる導線」、そして「成果を生むコンテンツ体制」を設計・実装できます。
自身のメディア運営でInstagram・TikTok・Xの発信を実践。
Instagram1投稿29.8万PV・TikTok42.7万回再生・X88万インプレッションを達成しています。
現在は企業様のWebプロデューサー兼SEOコンサルとして、その実践的なノウハウを提供しています。
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「広報=プレスリリース」ではない|中小メーカーが最初に考えるべきこと
PR TIMESやメディア向けのプレスリリースは、ある程度の発信力・話題性・継続的な情報提供ができる状態になってから活用するものです。まだ自社のWebサイトが古い・SNSがない・何を発信すればいいかわからない段階でプレスリリースを書いても、メディアが取り上げる理由がなく、効果は限定的です。
中小メーカーの広報が最初に目指すべきゴールは、「自社を検索で見つけてもらえる状態を作ること」です。取引先候補が会社名を検索したとき、採用候補者が業界で検索したとき、消費者が商品を探したとき——その人たちの前に自社の情報が出てくる状態を作ることが、広報の第一歩です。
メディアへのアプローチは、そのベースができてから考えれば十分です。
中小モノづくり系メーカーの広報が担う3つの役割
広報という役割を整理すると、中小メーカーには大きく3つの機能が求められます。
① 既存顧客・取引先に「うちはこういう会社だ」と伝える——信頼の維持
長年付き合いのある問屋や取引先であっても、自社の技術・強み・方向性が正確に伝わっているとは限りません。ホームページやSNSで「自社が何者で、何が得意で、どんな考えで仕事をしているか」を継続的に発信することで、既存関係をより強固にできます。
「うちのことは分かってくれている」と思っていた取引先が、実は競合に乗り換えを検討していた——こういうことは、情報発信がない会社では起きやすいです。
② 新規顧客候補に「存在を知ってもらう」——認知の拡大
展示会や紹介以外のルートで新規顧客と出会うには、Webで見つけてもらえる状態が必要です。「○○ メーカー」「△△ 素材 どこで買える」「産地 工芸品 通販」——こうした検索で自社が出てこなければ、潜在顧客との接点がありません。
広報の認知拡大機能は、展示会やDM営業のような点の接触ではなく、24時間365日継続して機能する接点を作ることです。
③ 採用・取引先に「選ばれる理由」を作る——ブランディング
人材採用の場面でも、取引先候補が発注先を選ぶ場面でも、「この会社はどんな会社か」をWebで調べます。そのときに出てくる情報が古い・少ない・魅力が伝わらない状態では、他社に流れやすくなります。
ブランディングは大企業だけのものではありません。「うちにしかない技術」「この産地の職人としての誇り」「こういう考えでモノを作っている」というストーリーを発信することが、中小メーカーの選ばれる理由になります。
何から手をつけるか?中小メーカー広報の現実的な優先順位
「全部やりたいが、時間がない」というのが中小メーカーの実情です。優先順位をつけて、一つずつ土台を作っていくことが重要です。
| 優先度 | やること | 目的 | 目安の期間 |
|---|---|---|---|
| ★★★ | ホームページの情報を整える | 検索で見つかったときに「ここだ」と思ってもらえる状態にする | 1〜2ヶ月 |
| ★★★ | SNSのアカウントを開設し発信の土台を作る | 認知拡大・ブランディングの入り口を作る | 1ヶ月〜 |
| ★★ | コンテンツ(ブログ・コラム)で検索からの接点を作る | 見込み客が検索したときに自社が出てくる状態を作る | 3〜6ヶ月〜 |
| ★ | プレスリリースでメディアにアプローチする | 第三者による発信で信頼性・認知を高める | 半年〜1年後 |
① まずホームページの情報を整える
広報の第一歩は、ホームページを「見られたときに恥ずかしくない状態」にすることです。会社概要・製品情報・お問い合わせ導線が古い・分かりにくい状態では、せっかく見つけてもらえても離脱されます。結構ほったらかしの企業を見かけることがあります。まだSSL化すらしていないケースも。
リニューアルまで手が回らなくても、情報の更新だけなら今日から始められます。「最終更新が3年前」という状態だけは早めに解消しましょう。製造業のホームページから問い合わせが来ない原因については、製造業のホームページから問い合わせが来ない本当の理由記事も参考にしてください。
② SNSで発信の土台を作る
ホームページを整えたら、次はSNSで情報発信を始めます。InstagramやXは、商品のビジュアル・工場の様子・作り手のストーリーを伝えるのに向いています。特にモノづくり系メーカーは「製品ができるまでの工程」「職人の手仕事」「素材のこだわり」がそのままコンテンツになります。
どのSNSを選ぶか・何を投稿するかの判断基準については「製造業がSNSをやるべきか、正直に答えます」を参考にしてください。
③ コンテンツで検索からの接点を作る
ホームページにブログやコラムを追加し、見込み客が検索するキーワードで記事を書いていくことで、「検索で見つかる状態」を育てます。展示会や紹介に頼らない、検索からの新規接点を作ることが目的です。
製造業のオウンドメディアの始め方については→製造業がオウンドメディアを始めるときの記事に詳しく書いています。月2〜4本のペースから始めることで、半年〜1年で検索からの流入が生まれ始めます。
④ プレスリリースはその後でいい
ホームページ・SNS・コンテンツの土台が整ってきたら、プレスリリースでメディアにアプローチする段階に入れます。土台がある状態でプレスリリースを送ると、記者がWebで裏付けを確認できるため取り上げられやすくなります。逆に土台がない状態でプレスリリースだけ送っても、調べても情報が出てこないため信頼性が低く見られがちです。
製造業の広報で実はコンテンツが特に重要な理由
中小モノづくり系メーカーには、大手企業には絶対に真似できない広報の武器があります。それは「誰が・どこで・どうやって作ったか」というストーリーです。
大手メーカーは量産・効率・規模を強みにします。でも、中小メーカーの強みは職人の手仕事・産地の歴史・素材へのこだわり・代々受け継いできた技術です。これらは文章・写真・動画でコンテンツにできます。
「焼物の釉薬はなぜこの色が出るのか」「この繊維の産地でしか作れない生地の理由」「創業70年の金型屋が守り続けてきた精度の話」——こうしたストーリーは、大手メーカーのプレスリリースには書けない内容です。そしてこれが、消費者・バイヤー・メディアの心を動かすコンテンツになります。
ブランドストーリーの作り方についてはブランドストーリー戦略とは?記事に詳しく整理しています。広報担当者としてまず自社のストーリーを言語化しておくことが、その後のすべての発信の土台になります。
INGTACTが製造業の広報立ち上げを支援できること
INGTACTは、中小モノづくり系メーカーの広報・Web発信の立ち上げを、戦略設計からコンテンツ制作まで支援しています。「広報を任されたが何から始めればいいかわからない」「ホームページはあるがSNSもコンテンツも何もない状態」という段階からでも対応しています。
- 現状のWeb・発信状況の診断と優先順位の整理
- ホームページの改善ポイントの整理とコンテンツ方針の設計
- SNSの発信方向性・コンテンツテーマの設計
- ブログ・コラムのキーワード設計・記事構成・コンテンツディレクション
- ブランドストーリーの言語化支援
「まず何をやればいいか整理したい」という段階からでも、お気軽にご相談ください。
よくあるご質問
広報担当者が初めてで専門知識がありません。それでも始められますか?
はい、始められます。製造業の広報で最初にやるべきことは、専門知識よりも「自社の強みを言葉にして発信する」ことです。ホームページの更新・SNSへの投稿・ブログの執筆は、専門家でなくても始められます。方向性の設計や発信内容の整理はINGTACTがサポートできます。
プレスリリースはいつから始めればいいですか?
ホームページの情報が整っており、SNSやコンテンツで一定の発信実績がある状態になってから始めることをおすすめします。目安として、ブログ記事が10本以上・SNSのアカウントを3ヶ月以上継続して運用している状態が整ったタイミングが適切です。
SNSとブログ、どちらを先に始めるべきですか?
目的によって異なりますが、問い合わせや販売につなげることが目的であれば、まずサイトとブログ・コラムの基盤を整えることをおすすめします。SNSで認知を取っても、受け皿となるサイトが整っていなければ問い合わせにつながりません。サイトの導線が整ってからSNSと並走する順番が、結果的に両方を活かせます。
社内で広報を担当できる人がいません。外部に任せることはできますか?
はい、可能です。方向性の設計・コンテンツ構成・記事の品質チェックを外部に任せ、撮影・情報提供・発信の実行は社内で行うという分担が、中小メーカーには現実的です。INGTACTでは、社内担当者が動きやすくなる体制づくりをサポートしています。
まとめ
製造業の広報を始めるとき、プレスリリースや取材対応から入る必要はありません。
まずホームページの情報を整え、SNSで発信の習慣を作り、ブログ・コラムで検索からの接点を育てる。
この順番が、中小モノづくり系メーカーにとって現実的な広報の始め方です。プレスリリースや外部メディアへの露出はその土台ができてから考えれば十分です。
中小メーカーには、職人の技・産地のストーリー・素材へのこだわりという、大手には真似できない広報の武器があります。それを自社サイトとコンテンツで発信することが、選ばれる会社になる第一歩です。
「何から始めればいいか整理したい」という段階から、ぜひINGTACTにご相談ください。
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