「Instagramのフォロワーからは、なかなかの数のいいねとDMが来るのに、問い合わせには全くつながらない。」「Xで毎日発信してバズったこともあるのに、サービスが売れない。」
スタートアップや成長途中の会社のこのお悩みは、ここ数年で急増しています。SNSで認知を取ることに成功しているにもかかわらず、問い合わせや受注につながらない。この状態には、構造的な原因があります。
この記事では、SNSで認知は取れているのに問い合わせが来ない理由と、問い合わせにつなげるために今すぐ取り組むべきことを、6年間にわたるスタートアップ・中小企業のWeb支援経験をもとに解説します。

田口 靖恵|Content Strategist/SEOコンサルタント/ウェブ解析士(個人事業主)
運営:INGTACT(コンテンツ設計・SEO支援)
X(https://x.com/ami_lier)
独学でのWordPressから、個人メディア運営・アフィリエイト事業(成果報酬型広告)を通じ、サーバー設定やSEOに有利なディレクトリ構造(URL階層)の設計までを、すべて実戦の中で習得してきました。
また、BtoBツール(SaaS)やECサイトなど、複数の企業案件におけるディレクション実績を持ち、制作チームとの連携作法も熟知しています。
自身のメディアを収益化してきた経験と、企業の制作現場を知る強みがあるからこそ、発注者様と同じ目線で「検索エンジンを考えた構造」と「売上に繋がる導線」、そして「成果を生むコンテンツ体制」を設計・実装できます。
自身のメディア運営でInstagram・TikTok・Xの発信を実践。
Instagram1投稿29.8万PV・TikTok42.7万回再生・X88万インプレッションを達成しています。
現在は企業様のWebプロデューサー兼SEOコンサルとして、その実践的なノウハウを提供しています。
SNSは認知のツール。問い合わせのツールではない
検索からの集客がうまくいかず、時代はSNSだ!とSNSを開始した企業も多いと思います。ここでは集客で見るツールの認識から解説していきます。
SNSとWebサイトが担う役割はそもそも違う
SNSとWebサイトでは、ユーザーの「情報収集のモード」が根本的に異なります。
SNSを見ているとき、ユーザーは基本的に受動的です。流れてきた投稿を見て、興味があればいいねを押し、気に入ればフォローします。このモードにあるユーザーに「問い合わせしよう」という意思決定を求めるのは、構造的にハードルが高いのです。いいねはなんとなくする時代です。
一方、検索エンジンからWebサイトを訪問するユーザーは、能動的に情報を探しています。「この会社に頼めるか確認したい」「料金を知りたい」「サービスの詳細を比較したい」という明確な目的を持ってページに来ます。この状態のユーザーが、問い合わせに至る確率は圧倒的に高いです。
SNSは「知ってもらうため」のツール。問い合わせは「調べてもらうため」の場所=Webサイトで発生します。この役割分担を理解せずに運用すると、認知は取れても問い合わせが来ない状態が続きます。
東京商工リサーチのデータが示す現実
東京商工リサーチが行った企業SNS運用に関する調査(2023年)によると、SNSを運用している企業のうち約3割(29.3%)が「効果が得られなかった」と回答しています。また、「会社のイメージが向上した」と感じた企業は32.2%いる一方で、「問い合わせや受注が増えた」という直接的な成果を得た企業は少数にとどまります。
これは、SNSが「認知・イメージ向上」には有効であっても、「問い合わせ・成約」に直結しにくいという構造を示しています。2023年のデータでも、この数字です。
参考:企業のSNSアカウント、大企業でも半数が「運用せず」 さらに運用企業の3割が「効果得られない」 2023年「企業のSNS運用に関するアンケート」調査
SNSで認知が取れても問い合わせが来ない3つの構造的原因
では、どうして問い合わせが来ないのか?を分析します。
原因①SNSプロフィールからWebサイトへの導線が機能していない
「SNSを見てくれた人がWebサイトに来ているか?」をGA4やSearch Consoleで確認したことはありますか。多くのケースで、SNS流入はWebサイト全体のセッション数の数パーセント以下に留まっています。
原因はシンプルです。プロフィール欄のリンクをタップする動作は、SNSを閲覧している最中の「フロー」を一度断ち切る行動です。よほど強い興味関心がなければ、ユーザーはそのまま次の投稿へスクロールします。
さらに、リンク先のWebサイトが「SNSで見ていた雰囲気と別物」に感じられると、一瞬で離脱します。SNSのトンマナ(トーン&マナー)とWebサイトのトンマナが乖離している会社は、この問題が起きやすいです。
原因②Webサイト自体が問い合わせを受け取る設計になっていない
SNSから来た訪問者がWebサイトに来ても、問い合わせボタンが目立たない、フォームの入力項目が多すぎる、「問い合わせするとどうなるか」が書いていないサイトでは、問い合わせにたどり着けません。
スタートアップや小規模企業のWebサイトに多いパターンが、サービス説明のページはあるが「なぜ今すぐ問い合わせすべきか」が伝わっていないケースです。ユーザーは「とりあえず保存しておこう」「また今度調べよう」で離脱します。
Webサイトのコンバージョン率(CVR)の業界平均は1〜3%程度です。つまり100人がサイトに来ても、設計が整っていなければ1件も問い合わせが来ない可能性があります。
原因③SNSで来た人はファン予備軍であって購入検討者ではない
SNSのフォロワーや「いいね」をくれるユーザーは、あなたのコンテンツや世界観を好きな人たちです。しかし、好きなこととお金を払うことの間には大きなギャップがあります。
企業の中にも、Instagramのフォロワーが数万人いるのにサービスの問い合わせが月0〜2件というケースがある場合も。原因を分析すると、フォロワーの8割以上が同業者や学生で、実際の購買層とほぼ一致していませんでした。
SNSで集まる「認知」と、問い合わせにつながる「購買意欲のある認知」は別物です。SNSの数字だけを見て安心しているのは危険です。
検索経由の訪問者がSNS経由より問い合わせにつながりやすい理由
検索エンジンからWebサイトに来るユーザーは、自分から能動的に情報を探しています。「Webマーケティング 支援 スタートアップ」「ホームページ 問い合わせ 増やす 方法」といったキーワードで検索してくるユーザーは、すでに課題意識を持っています。
一方でSNSは、ユーザーが課題を持っていない状態でも情報が届きます。これは認知拡大において強みですが、問い合わせへのモチベーションという点では弱みです。
SNSは「潜在層への認知」に強く、検索(SEO)は「顕在層の獲得」に強い。この特性を理解して両方を使うのが最も効果的な設計です。
SNSで認知は取れている会社が今すぐ取り組むべき4つのこと
SNSで認知は取れている。だったら次に以下の4つを意識してみてください。
①SNS→Webサイトへの導線を整備する
まずSNSプロフィールのリンク先を確認してください。「Webサイトのトップページ」に設定している場合、それは正しくない可能性が高いです。SNSで発信しているテーマに対応したランディングページ(サービスページや問い合わせページ)に直接誘導する設計にしましょう。
またリンクボタンのテキストも重要です。「プロフィールのURLから詳細はこちら」より「無料相談はこちら(所要5分)」のように、訪問者にとって次のアクションが明確な文言に変えるだけで、クリック率が変わります。
②WebサイトのCVR(問い合わせ率)を改善する
SNSからの流入を無駄にしないために、まずWebサイトの「問い合わせしやすさ」を点検します。チェックすべきポイントは、問い合わせボタンがすべてのページで目に入る位置にあるか、フォームの入力項目が5項目以内に絞られているか、「問い合わせ後の流れ(いつ、誰から、どんな形で連絡が来るか)」が明記されているか、の3点です。
これだけでCVRが1〜3倍に改善するケースは珍しくありません。派手な施策より、まずここを整えることが最優先です。
③検索流入(SEO)を並行して育てる
SNSで認知が取れているということは、伝えたいことが明確でコンテンツ力があるということです。その強みをWebサイトのコンテンツに転用することで、SEOの土台を作ることができます。
SNSで反応が良かった投稿のテーマは、そのままコラム記事のネタになります。SNSで1,000件のいいねがついた投稿の内容は、同じテーマを検索する人が存在することを意味しています。SNS発信とSEOコンテンツを連動させることが、問い合わせを継続的に生み出す設計につながります。
④SNSのフォロワー分析を行い、購買層との一致度を確認する
Instagramであればフォロワーのデモグラフィック(年代・性別・地域)を確認できます。このデータが自社のターゲット像と一致しているかを確認することが必要です。
もし大きなズレがある場合、コンテンツの方向性自体を見直す必要があります。「いいね」が増えるコンテンツと、問い合わせにつながるコンテンツは必ずしも一致しません。フォロワーを増やすことより、「問い合わせしてくれる人に届くコンテンツ」を作ることを優先しましょう。
支援企業に見られた共通のターニングポイント
私はこの6年間で、スタートアップから成長段階の中小企業まで、さまざまな規模・業種のWeb支援に携わってきました。その中で、SNS運用はしているのに問い合わせが来ないという状態から脱出した会社には、共通のターニングポイントがありました。
それは「SNSと自社Webサイトの役割を分けて設計し直した」タイミングです。SNSは認知拡大と関係構築に使い、問い合わせ獲得はWebサイトとSEOに担わせる。この切り分けを明確にした瞬間に、施策の優先順位が整理され、問い合わせが動き始めた可能性が高いです。
特にスタートアップで多かったのが、SNS運用に工数の8割を使い、Webサイトの整備にほとんど時間を使っていない(放置、または優先度が低い)ケースです。SNSは毎日投稿が必要で交流にも使う事ができ、即反応が見えるため優先されがちです。しかしWebサイトは一度整えれば24時間365日働き続ける資産です。この投資対効果の差を意識できた会社が、次のフェーズに進んでいきます。
INGTACTがスタートアップ・成長企業のWeb戦略を支援します
INGTACTでは、「SNSはある、でも問い合わせが来ない」という段階の企業に対し、現状のWebサイトと集客設計の診断から入ります。
SNSの運用状況・WebサイトのCVR・検索流入の3点を組み合わせて現状を整理し、今何から手をつけるべきかのロードマップを作成します。私自身もSNSを運用しています。そういった結果も含めながら解説していきます。
SNSをやめろということではなく、SNSの効果をWebサイトに着地させる設計を整えることが目的です。
スタートアップの資金調達フェーズから成長フェーズまで、各段階に応じたWeb戦略設計の支援が必要です。あなたの会社にとってのSNSとは?Webの役割とは?から考えていきます。
まずはご相談から始めてください。
▶ Web戦略設計・SEOプロデュースはこちら:https://ingtact.jp/service/seo-advisor/
よくある質問(FAQ)
SNSをやめてSEOに集中した方が良いですか?
いいえ、SNSをやめる必要はありません。SNSとSEOは役割が異なり、両方を並走させることでより効果的に集客できます。SNSで「知ってもらい」、検索で「選んでもらう」という流れを設計することが理想です。SNSで全て網羅しようとせずに、まずは現在のWebサイトの受け皿を整えることを優先しましょう。
スタートアップでもSEOに取り組む意味はありますか?
はい、むしろ早期から取り組むことを強くお勧めします。SEOは成果が出るまで3〜6ヶ月かかりますが、一度上位表示が取れると継続的に問い合わせを生み出す資産になります。資金調達前のシード期こそ、広告費をかけずに集客できるSEOの土台を作るタイミングです。
Webサイトへの問い合わせを増やすために最初にやるべきことは何ですか?
まずGoogle AnalyticsまたはGA4でSNSからの流入数と、その後の離脱率を確認してください。SNSからの流入が来ているのに離脱率が高い場合は、Webサイトの設計に問題があります。次に問い合わせボタンの設置場所と、フォームの入力項目数を確認します。この2点を改善するだけで、問い合わせ率が大きく変わることが多いです。
フォロワーが多いほどビジネスに有利ですか?
フォロワー数はビジネス成果と必ずしも比例しません。重要なのはフォロワーの質、つまり自社のターゲット層と一致しているかどうかです。10万フォロワーいても購買層でなければ問い合わせは来ません。一方、1,000フォロワーでもターゲット層が集まっていれば問い合わせにつながります。実際に1万人フォロワーがいなくても利用者の口コミだけで広がって集客に成功した企業もあります。まずフォロワーのデモグラフィックを確認することをお勧めします。
まとめ|SNSの認知をWebサイトの問い合わせに変換する設計を作ろう
SNSで認知が取れているのに問い合わせが来ないのは、SNSの問題でもコンテンツの問題でもありません。SNSとWebサイトの役割を分けずに、SNSだけに問い合わせを期待しているという設計の問題です。
SNSは「知ってもらう」ための場所。問い合わせは「調べてもらえた後」にWebサイトで発生します。この構造を理解した上で、SNS→Webサイトへの導線整備、WebサイトのCVR改善、SEOによる検索流入の獲得を順番に取り組むことが、問い合わせを継続的に生み出す設計の基本です。
時代はSNSだと飛び付いてWebや集客をおろそかにした結果、うまくいかない企業も見てきました。そのやり方はあなたの企業に合っていますか?
SNSでの発信に使っているエネルギーの一部をWebサイト整備に向けるだけで、状況は変わります。まず現状のWebサイトが「問い合わせを受け取れる設計になっているか」を確認することから始めてみてください。

