2026年2月末、名古屋駅前の名鉄百貨店本店が71年の歴史に幕を下ろしました。
閉店翌日、シャッターの前には「71年分の感謝を、心から。」という文字。立ち止まって、名残惜しそうに見つめている人がいたといいます。この話を知ったのは、私はネットニュースからでした。
私も名古屋駅周辺にはよく行きます。高校生の頃もよく通っていたし、ナナちゃん人形のあたりを歩くたびにあの界隈の空気が少しずつ変わっていくのを感じていました。だから、この閉店のニュースは他人事には思えませんでした。正直、悲しかったし寂しかったです。
東海地方だけでも、近年は閉店が続いています。
- 2021年:松坂屋豊田店 閉店→T-FACEとしてリニューアル
- 2024年:名鉄百貨店一宮店 閉店
- 2024年:岐阜高島屋 閉店
- 2026年:名鉄百貨店本店 閉店
(参考記事:東海地方で相次ぐ百貨店の閉店|CBCテレビ)
町並みも人の動きも変わっていくから寂しい。それが率直な気持ちです。と同時に、これは買い物客だけが悲しむ話ではないとも個人的に思っています。
人の動き方が変わった——百貨店が減り続ける本当の理由
「なぜ百貨店は閉店するのか」と問われると、よく「コロナ禍の打撃」や「景気低迷」という言葉が出てきます。でも本質はそこだけではありません。
地方の生活様式が、静かに、でも確実に変わってきているのです。
- 車社会の地方では、休日の買い物先がショッピングモールにシフトしている
- 人口減少により、駅前・中心市街地の商圏そのものが縮小している
- ネット通販・ECの普及で、わざわざ出かけなくても欲しいものが手に入る
- 働き世代の可処分所得が伸び悩み、百貨店価格帯の商品が選ばれにくくなっている
愛知・岐阜・三重のような車社会の地域では特にそうです。「週末はモールに行く」という生活スタイルが当たり前になっている地域で、駅前の百貨店に人が集まり続けるのは難しいのかも…。私には中のことは分からないけれど、なんとなくそう察します。
これは一時的な不況とは性質が異なります。人の行動様式と生活圏が変わった——その結果として百貨店が選ばれなくなっているのかもしれない。
悲しいけれど、それが今という時代だと思っています。
その閉店は、卸先を持つメーカーにも直撃する
百貨店の閉店を「消費者の悲しいニュース」として受け止めている方も多いと思います。もちろんです。高校生の頃からずっと行ってたデパートだという気持ちも私にはあります。でも、長年その百貨店に商品を納めてきたメーカーの社長にとっては、それだけでは済まないのかな?と今回考えていたんです。
卸先が一つなくなるということ
- その百貨店の売り場が消え、商品の置き場所がなくなる
- 在庫の引き取りや契約終了の手続きが発生する
- 新たな卸先を探す必要があるが、同じ条件の取引先は簡単には見つからない
- 閉店ラッシュが続く中、「次の卸先」も安泰とは言い切れない
これは私が今ふと、想像しただけなのですが、、もし、自社の売上の大部分を特定の百貨店や地方小売への卸に依存していたとしたら——その一店の閉店が、会社の売上に直接影響します。
「うちはまだ大丈夫」と思っていても、卸先が減っていく流れは、すでに始まっています。
私のお友達のお家が地域特産品を生産する工場を持っており、百貨店やデパート内の飲食店に卸している、とも聞いています。他人事には思えないんですよね。
悲しいけれど、だからこそ考えておきたい
「では、どうしたらいい?今すぐECを始めなければいけないのか」——そんな急いた話をしたいわけではありません。
ただ、少し立ち止まって考えてみてほしいことがあります。
「もし今の卸先が一つなくなったとき、他の販路はあるか?」
時代は変わりました。直接消費者に届ける仕組み——自社ECサイト、SNSでのブランド発信、ネットショッピングモールへの出店は、以前と比べてずっと始めやすくなっています。これは確かです。
もちろん、すべてのメーカーがEC直販に向いているわけではないし、既存の卸先との関係を大切にしながら進める必要もあります。「全部やめて直販に切り替える」という話でも、「卸はもう古い」という話でもありません。全くそういった話ではありません。
ただ、卸先一本に頼り切らない販路の設計を、頭の片隅に置いておくかどうか——それだけで、閉店のニュースが飛び込んできたときの「次の動き」が変わってくると思っています。
人の動き方が変わり、商圏が変わり、売れる場所が変わってきた。それは事実として受け止めながら、自社の商品をどう届けていくかを考える——その一歩を踏み出すきっかけに、この記事がなれたら嬉しいです。
製造業・モノづくり系メーカーのWeb集客・SNS活用については、こちらの記事も参考にしてください。
よくある質問
百貨店への卸をやめて直販に切り替えるべきですか?
一概にそうとは言えません。既存の卸先との関係・商品特性・社内リソースによって最適な判断は異なります。「卸をやめる」ではなく「卸に加えて別の販路も持つ」という発想から考えることをおすすめしています。
ECやSNSを始めるには、何から手をつければいいですか?
まず自社の強みと、どんな顧客に届けたいかを整理することが先決です。ツールやプラットフォームの選択はその後。全部一気にやればいいわけでもないですし、内容を全て同じにして始めればいいわけでもありません。INGTACTでは現状診断から一緒に取り組んでいます。
東海地方以外のメーカーでも相談できますか?
はい。まずはオンライン(Zoom等)で全国対応しています。地域を問わずお気軽にご相談ください。
東海地方に残したい産業やモノづくりのコト。一緒に考えませんか?
INGTACTは、愛知・岐阜・三重エリアを中心に、製造業・モノづくり系メーカーのWeb集客・販路設計をサポートしています。もちろん全国対応です。
「今すぐ動きたい」でなくても構いません。「何から考えたらいいかわからない」という段階からの壁打ちのようなご相談を、むしろ歓迎しています。
まず話を聞いてほしいという方は、お気軽に無料相談フォームからご連絡ください。

